映画『第七官界彷徨〜尾崎翠を探して〜』パンフレット

1998年10月15日



監督：浜野佐知

脚本：山崎邦紀

撮影：田中譲二

出演：白石加代子　吉行和子　柳 愛里ほか





映画『第七官界彷徨〜尾崎翠を探して〜』

1999年7月3日公開



尾崎翠（1896-1971）は、日本の文学界において

独特の位置を占める作家です。



1930年代に活動した尾崎翠ですが、

その作品は当時の文学界の主流から

大きく外れた実験的なものでした。



鳥取高等女学校時代より詩歌の投稿をはじめ、

卒業後、代用教員をつとめながら

雑誌に投稿した文章が入選するなど、

当時学生だった吉屋信子とともに

注目を集めました。



やがて退職、上京し、

大学に通いながら、文章を発表するように

なります。

学生でありながら文章を発表したことを

大学にとがめられて退学し、

鳥取と東京をいったりきたりしながら、

創作する生活を続けます。



少しずつ、創作の場が広がり、

発表した作品に太宰治や井伏鱒二らからも

着目されつつあった中、

以前より常用していた薬物の服用により

体調を崩し、帰郷したのちは、

戦争をはさんで、長い沈黙の時代が

続きました。



戦後、再評価がすすみ、

インタビューや取材の依頼があっても

それらに応えることはありませんでした。



1990年代以降、新たに彼女の作品が

アンソロジーのうちの一冊として編まれたり、

伝記エッセイが刊行されたり、また

映画（本作）が公開されるなど、

広く一般に受け入れられるようになりました。



本作は、沈黙後の尾崎翠に光をあて、

新たな視点から、彼女の創作、生涯について

語った作品であり、

尾崎翠の作品の愛読者にも、

彼女を知らなかった方にも、

彼女に興味を持ち、研究を志す方にも、

多くの人に新鮮な喜びを与えてくれるでしょう。



この映画を支援する会が発足し、多くの人の

情熱で作品の完成が実現したその熱量が、

パンフレットから伝わってきます。



ご興味のある方に、手にとっていただければ

嬉しいです。





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まとめ買いの場合も同様です。

ご了承ください。