1998年 167ｐ　巻頭に署名

ごあいさつ

佐藤忠良氏は、現代日本の具象彫刻を代表する作家 であり、その作品は海外でも高い評価を得ています。 1912年、 宮城県に生まれ、 少年期を北海道で過ごし た佐藤氏は、ロダンに代表される近代フランス彫刻に 惹かれ、東京美術学校(現東京芸術大学) 彫刻科に進 みました。 1939年に同校を卒業した後、 本郷新、柳原 義、 舟越保武氏らとともに新制作派協会(現新制作) 彫刻部を設立し、現在に至るまでこの新制作展を主な 発表の場として、旺盛な制作活動を展開しています。 1981年にはフランス国立ロダン美術館の招きで、同館 において個展が開催され、大きな反響を呼びました。 その後も日本各地で氏の大規模な展覧会が開催される など、氏の作風は多くの方々から親しまれているとい えましょう。
宮城県美術館では1990年、 佐藤氏から彫刻作品等の 寄贈を受け、氏の代表作を一堂に展示する佐藤忠良記 念館を開設いたしました。
今回の特別展では、三つの角度から、氏の新たな表 現を紹介いたします。 まず、 1980年代後期から1990年 代の作品を中心に、 野外彫刻の大作を含む当館に収蔵 されていない彫刻をご覧いただきます。 第二に、佐藤 氏が近年、日課のように描き続けている、味わい深く かつ象徴的な老木 古木 落葉のスケッチをまとめて 展示します。 第三に、ブロンズ像は主に石膏像を原型 とした鋳造により制作されますが、私たちが普段目に することのないこの石膏原型とその修復の成果を公開 いたします。
最後になりましたが、この展覧会の開催にあたり、 多大なご協力を賜りました佐藤忠良氏、笹戸千津子氏、 そのほか多くの方々に厚く御礼申し上げます。
1998年8月
主催者

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