ベートーヴェン

ディアベッリ変奏曲 作品120

（アントン・ディアベッリの主題による

33の変奏曲 ハ長調）



クラウディオ・アラウ（ピアノ）

録音：1985年４月 スイス、ショードフォン



依頼主からの「ディアベッリの主題」があまりに陳腐で怒ったベートーヴェンは催促のすえやっと書き上げたのがこの超大作です。「最晩年のベートーヴェンによる傑作」という人もあれば、「正直ディアベッリは長い」「最後まで集中して聴くのは大変」という人もあり、評価も分かれる作品です。どちらにしても、ピアノ・ソナタを全部聴くほどのベートーヴェン・ファンはこの作品も当然聴くべきです。



ベートーヴェン作品の解釈において、最高権威者として知られるアラウ。この《ディアベッリ変奏曲》はアラウにとって33年ぶり2度目の録音。透徹したピアニズムで音楽の内実に心を通わせた感動的な演奏で、アラウの演奏家としての総決算的な意味をもつかけがえのない遺産です。アラウの円熟、表現の深化を如実に示す、偉大な作品の偉大な演奏です。全体のテンポはやや遅めですが、なんとも言えない軽やかさがあり、実に小気味よくリズミカルに主題が始まります。それに続く変奏は、テンポの緩急、曲想の剛柔を自在に使い分けて多彩に進みます。老境に入ったアラウの演奏には、聴き手の気持ちをおおらかに解放きし、豊かな充足感を残す独特の味わいがあります。優秀録音です。レコード芸術特選盤、名曲名盤500では第4位に選定されています。



アラウとどちらかと言えば同じタイプの偉大な先人ピアニスト：バックハウスはこの曲の録音をモノラルでしか残していないので、このアラウのデジタル録音は一層価値があります。



全体的に、ゆっくりとしたテンポだが、非常に優しくて奇麗なディアベッリ変奏曲だ。一つ一つの解釈が厳密で、しかも重々しくない音楽で、とてもアラウらしい美しさで満ち満ちている。きっと、心に入っていく一枚だと思う。



国内盤、帯無し、盤面傷無し 16

オリジナルジャケット盤【廃盤】



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